今回は人に何かをさせるというのを英語でどう言うかを解説します。
「させる」は「させる」でもその「強要度」によって言い方が変わってくるので、その辺も誤解のないように解説していきます。
1.人をその状態に「させる」
例えば下記の例文を見てください。
例えばテレビで虫を食べる罰ゲームを放送しているとします。
そのシーンを一緒に見ているあなたの妹が言います。
Oh, It makes me sick! |
どういう意味かと言うと「それは私を気持ち悪くさせる」と言っています。
では、今度は悲恋モノのドラマを見ていた妹がボロボロ涙を流しながら言いました。
It makes me cry. |
今度は「これは泣かせるわ~」と言っています。
そう、AがBを別の状態にする時「A makes B 〇〇」のような言い方をします。
このように、誰かが誰かの気持ちを変えた時にも使います。
A: Why is she crying? B: You made her cry, didn’t you? |
A: You know, This new diet supplement made me lose 5 kg in a month! B: Really? You make me want to buy it. |
*ポイント*
このmake me 〇〇はちょっと文法的には特殊です。なぜなら「動詞」でも「形容詞」でもどっちでも入るからです。
I cried. | It made me cry. |
I lost my weight. | It made me lose my weight. |
I want to buy. | It made me want to buy. |
I am happy. | It made me happy. |
I feel sick. | It made me sick. |
(表内は時制を無視して分かりやすく全部made meにしています。)
上の表を見て欲しいのですが、青が「動詞」でピンクが「形容詞」です。
でも全部made meの後に来てますよね。I~のほうは語順が違うのにも関わらずです。
これは本来なら青文字の方は文法的には
It made me to cry.
It made me to lose my weight.
It made me to want to buy.
のように、made me to とならなければならないのですが、実際の会話や文章ではこのToが省略されていると考えてください。で、ピンクの方は単純になにも省略されてないので、青もピンクも同じ語順になるという事なんです。
2.強要する場合の「させる」
*問題*
A: Hey, would you like to hang out after classes? B: Sorry, I have to go to the karate class today. A: Oh, Are you learning karate? That’s really cool! B: いや~実は親にやらされてるんだよね。本当はイヤなんだ。 |
さて、この最後のBのセリフを英語であなたならどう言いますか?ちょっと考えてみてください。
・・・・・・・
・・・・
で、答えなのですが、
もちろん第一項のmake meを使ってもOKです。例えば、
My parents make me do it. Actually, I don’t want to do. |
などでも良いでしょう。ただ make me というのは、必ずしも「強制されてる」わけじゃないのです。
例えば、
He made me cry. |
と言うのは「泣け!」と言われて強制的に泣かされたわけじゃないですよね。
make me というのはそういう状態にさせてるだけであって強制ではないのです。
例えば、本当に空手なんか辛いだけで辞めたいと思ってて、でも親に辞めたいと言っても「ダメだ!辞める事は許さない!」と強制させているならこう言うべきです。
My parents force me to do it. Actually, I don’t want to do. |
このforceという言葉は「力」という意味があります。つまり「力づくでやらせる」時はこのforceを使うんです。
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例えば、もう1つ例を出すと、
父: Why did you do stealing? I can’t believe you did such a thing. なんで万引きなんてしたんだ? お前がそんな事するなんて父さんは信じられないぞ。 子: I didn’t want to. But some of my class mates forced me to do. |
このように、いじめられてて無理やり不良に万引きを強要されたなら、forceを使います。
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<では、もう少し詳しく感覚を理解していきましょう。>
妻: You should go on a diet. You are getting fat. 夫: What? You are making me fat! You make a lot of sweets everyday & You make me eat them. It makes me fat, you know? |
上の会話の意味分かるでしょうか?
妻:あなたダイエットしなさいよ、どんどん太ってるじゃない。 夫:なんだよ、おまえが俺を太らせてるんだろうが!お前が毎日お菓子を作って俺に食わせるんじゃないか!それが太らせてるって事分かってんのか? |
まず、夫の「お前が俺を太らせている」というのは、「太れ!」と言って強制的に太らされてるわけじゃありませんので、making me fat.
そして彼女はお菓子作りが趣味で「ねぇ食べて!」と毎日薦めてくるとします。旦那がそれを食べないと泣いたり怒ったりするとします。だから仕方なく食べているのでYou make me eatになります。
例えばこれが「食え!」と言って怒鳴りつけたり、無理やり口の中に突っ込んでくるような感じなら、You force me to eatの方がいいです。
子供が嫌いな人参を親に「食べなさい!」と怒られて食べてるというなら、
My mom forces me to eat carrots. |
と言った方がニュアンス的に正しいという事です。
make me というのは、脅したり強要してくるというよりは、オススメされて断れない気分になるからやる。というニュアンスが強いです。
「make = 作る」という本来の意味で考えれば分かるのですが、 「He makes me cry. = 彼は私が泣いてしまうような状況を作る」 のように捉えてください。 |
これをHe forced me to cry.と言ったなら、
私は泣きたくなかったけど「泣け!」と脅してきたので泣いた。
のような意味になるわけです。
A: Are you going home now? B: Yeah, My dad is forcing me to be at home by 9pm. A: Are you going home now? B: Yeah, my mom made me go home now. she got extra work and I have to take care the baby. |
このmake と force のそれぞれの感覚を覚えておいてください。
まとめ
そんなわけで、「させる」にも2つの感覚がある事が理解出来たでしょうか?make meの方は割りと万能でどんなパターンにも使えますが、逆にどんなパターンでも使えるがゆえに「その気にさせられた」のか「いやいややらされてる」のかのどっちなのかが見えづらい言葉だったりします。
そういう意味では「いやいややらされてる」なら、forceを使った方がきっちり伝わります。こういった使い分けをする事で、より自分の伝えたい正確なニュアンスを相手に伝える事ができるでしょう。
ちなみに冒頭にあったこの写真の意味分かりますか?
「私にみんなの前でぶたせないで」と言っています。
静かにしないとぶつわよ!と言ってるジョーク写真ですね。
ちなみに今回の「させる」と受け身の「される」を混同されてる方がよくいらっしゃいます。受け身の「〇〇される」の正しい理解も同時にして間違えのないようにしておきましょう。 |