ここではMustとhave toの使い方や違いを解説していきます。
Must や Have to と聞くと厳しさを感じるかもしれませんが、使い方によって「オススメ」にもなったり、否定形では立場が逆転したりもします。
Must と Have to がどういう場面でどういう意味になるのか、シチュエーション別に解説するので、あなたにもすっきり理解できます!下記もくじから知りたい部分に飛んでください。
「Must、have to」の使い方 重要度★★★★
1.Mustの文法上のカテゴリ
Will Shall Should May Might Can Could would |
と同じカテゴリー(助動詞)に属します。
これらの単語はgo, comeなどの「動き」を「補助する」単語です。
I eat. = 食べる I can eat. = 食べれる。 I musteat. = 食べなきゃダメだ。 |
とできる確率やニュアンスを付け足すのがmustなどの「助動詞」の役割です。
2.Mustの2つの使い方
Mustは皆さんご存知の通り、基本的には「しなければならない」の意味で使われます。
I must finish this work today. この仕事を今日終わらせなきゃいけない。 |
のような使い方です。
ただ、例えばスーパーで売り子さんが
This is very delicious! You must buy it! |
と言ったからと言って、
「これおいしいからあなたはこれを買わなくてはいけません!」
と脅しているわけではありません。
ようはMustというのは強くオススメする言葉だと思ってください。日本語でもマストアイテムなんて言ったりしますが、すごくオススメしたい時はMustを使ったりします。 |
もちろん、例えばスーパーであなたが商品を壊してしまった時に
You must buy it! |
と店員に言われたなら「その壊した物の代金を払わなきゃダメですよ!」と言ってる事になりますが、そうでないなら基本的に強くオススメしている事になります。
That movie is very funny! You must watch it! あの映画すごく面白いから、君も絶対見るべきだよ! |
このように使います。
*「~するべき」と訳すと「それはshouldなんじゃないの?」と思ったかもしれませんが、
mustは押しが強いshouldだと考えてください。
→ 楽しい、面白いを英語で?実はinterestingではない!?楽しい、面白いを英語で?実はinterestingではない!?
3.MustとHave toの違い、使い分け
Mustと同じ意味でむしろMustよりよく使われる言葉に「have to(ハフトゥ)」という表現があります。基本的には Must も Have to も同じなのですが、微妙な心情的な部分でネイティブは使い分けていたりしますので、一応参考までに説明させて頂きます。
例えば、
I must go to Kmart today. Because Xmas sale finishes today. 「今日Kマートに行かなくちゃ、お母さんに買い物頼まれてるんだ。」 |
さて、あえてこれはMustとhave toを使い分けてみました。別に入れ替えても間違いではありませんが、この2つの違いから心情的なものを感じる事が出来ます。
この2つの何が違うかというと、上のは「自分のため」下のは「人のため」という感覚があります。別の言葉で言えば have to の方がmustより差し迫っている感じがするという事です。
クリスマスセールに行き忘れても「あーあ、忘れちゃった」で済みますが、お母さんに頼まれてるものを忘れたら怒られるかもしれません。つまりHave toの方がもっと深刻に「やらなければならない」感じがします。
終電に乗り遅れるからもう行くね!という時も
I must go now! I have to go now! |
どちらでも構わないのですが、
I have to go now! の方がより差し迫っている感じがしますし、本気でもう行かなくちゃあとでマズイ事になる!って感じがします。
この差し迫ってる感や、もしそれをやらないとあとで痛い目に合うという深刻な感じが織り交ぜてあるのが、Have toだと思ってください。
ちなみに第2項で話した「人になにかを勧める時」は全部Mustです。 オススメの映画がある時に You have to watch it! と言ってはいけません。 「見なきゃダメです!」と言ってる事になってしまいます。 |
4.意味が変化するMustとHave toの否定形(not)
さて、今までのは基本的にMustとHave toは入れ替え可能でした。
しかし否定形(not)となると意味が変わるので、これは覚えておいてください。
例えば、子供がお菓子をポロッと地面に落としたとします。
そのお菓子を拾って食べようとした時、お母さんが言います。
You mustn’t eat it! |
これはあなたも分かると思いますが「食べちゃダメ!」と言ってるわけです。
ただ、もしお母さんが
You don’t have to eat it. |
と言ったとしたら、今度は微妙に意味が変わります。
これは「食べなくてもいいわよ」と言っているのです。
・must not (mustn’t [マスント]) = してはいけない ・don’t have to = しなくても良い |
という風に否定形は意味が変化するのです。これを覚えておかないと、ダメ!って怒ってるのか、別にいいよと許してるのか、意味を逆に捉えられてしまう可能性があるので気を付けてください。
You don’t have to hurry, but you mustn’t be late. |
上記の意味は理解出来るでしょうか?
考えてみてください。
最初はどっちがどっちだか分からなくなると思いますので、メモしておいたり、好きな映画で同様のセリフがあれば、そのセリフを覚える事で理解出来たりします。
5.Mustの特殊な使い方<must be、must過去>
ここで、また別の意味を含むMustの使い方をお教えします。
→Shouldとほぼ同じ変化をするので、Shouldの記事も合わせて読んでください。 |
例えば、テレビを見てる時、ある有名俳優を指さして友達が言いました。
He must be gay! |
これはどういう意味かというと「彼はゲイに違いない!」と言ってるんです。決して「彼はゲイにならなくてはならない」なんて事を言ってるわけじゃありません。
このように時と場合によっては「〇〇に違いない」という意味にもなります。
例えば、待ち合わせで友人を待ってる時、
He must be coming in 10min. *He is coming(彼は来るだろう)にmustを足した事でmust beとなっている。 |
と言えば、「彼は10分後には来るに違いない」という意味になります。
He should be coming in 10min. |
とShouldで言っても同じです。Mustの方がShouldより確信度が高い感じがします。
もしくは目の周りを真っ赤に晴らした彼女を見て、
She must have been crying. 彼女は泣いていたに違いない |
という意味になります。MustもShould, Might, Could, Would 同様に「泣いている→泣いていた」のように過去形と組み合わせたい場合は、Must + 現在完了形という形で表現できます。
今回の場合だったら、
She is crying. She was crying. She must be crying. She must have been crying. |
となるという事です。
→Shouldの記事でこの現在完了との組み合わせは詳しく解説しています。
wasがbeenになる仕組みについてはこちら
→be動詞の意味と使い方。困惑する原因はbeをdoの仲間と認識してないから!
6.映画のセリフからMustを理解する
ではここでは理解をより正しく深いものにするためにも映画のセリフから実際にネイティブがどうMustを使っているかを検証していきましょう。
Iron man2 (アイアンマン2)
ローディ: Is that supposed to be smoking? トニー: If you must know, it’s neutron damage. |
これはトニーの胸に付いているアークリアクターから煙が出てるのを見て心配しているローディとの会話です。「それってもともと煙が出るものなのか?」「言いたくないけど、ニュートロンダメージ(中性子損傷)って奴だ」
この If you must know というのは、「もし君が知らなければならないのなら=もし君に事実を告げなくてはならないのなら」という意味です。なにか言いたくない事を言う時に使うフレーズです。なのでこの場合は「~でなければならない」の形で使われている事になります。ちょっと難しいセリフですね。
Oz The Great and Powerful (邦題:オズ はじまりの戦い)
オズ: I’ll get that big pile of gold and you can have a nice pile of bananas, all right?
猿: Bananas. Oh, I see. Because I’m a monkey, I must love bananas, right? |
これは魔女退治をすれば金塊がもらえる事になったオズとお付の猿の会話です。
「俺が大量の金貨をゲットして、お前は大量のバナナをゲットできるよな?」
「バナナ?ああ、僕が猿だから(金貨じゃなくて)バナナが好きって思ってるんだろ?」
このI must love bananas は日本語に直訳するのは難しいです。ニュアンス的には「違いない」と「でなきゃいけない」の中間位です。
「僕が猿だからバナナを好きじゃなきゃダメってかい?」
「僕が猿だからバナナを好きに違いないってかい?」
まあ、どちらでもありですし、「さる=バナナ好きに決まってる」のようなニュアンスです。
我々は「違いない」と「しなきゃいけない」をまったく別の言葉として捉えていますが、Mustという単語はもっと大きな視点で捉えていて、本当になにか「しなきゃいけない」の意味であれば「Have to」を使います。
star trek (スタートレック)
スポック: Council. Ministers, l must decline. |
これはバルカン星人であるスポックがバルカン科学アカデミーへの入学を許されたシーンなのですが、半分人間の血が入ってる事を馬鹿にされたスポックは「大臣、私は入学を辞退します。」とこのセリフで入学を突如拒否しています。
I must decline.というのは直訳すれば「私は辞退しなければならない」という意味になります。もちろんこの訳で正しいですが、前項で話してきた通り、Mustは別に誰かに強要されているわけではなく、あくまで自分の意志で決めてる事に使う感覚があり、これも「辞退させていただく」という感じです。
さっきのバナナのmustとこのmustでなんとなく、mustの「しなければならない」具合が分かったでしょうか。日本語のしなきゃいけないの意味とは少々ずれた所にあり、幅広く使える感覚があります。
まとめ
ひとつヒントを出すとすれば、
Must be 〇〇となるパターンは大抵「〇〇に違いない」の意味です。
また「Must have done」のような現在完了形と合体してる時も大抵「〇〇したに違いない」という訳になります。
それ以外の普通の会話で出てくるMustは大抵は「〇〇でなければならない」の方です。Mustはあくまで「強いオススメ」であると捉えておき、本当にしなきゃダメなら「Have to」を使うと覚えておくと、より使い方の理解が深まると思います。
少々ややこしかったと思いますが、映画などでMustを使ったセリフが出てきた時は「どの意味だろう?」と考察してみてください。そして忘れてしまった時は、ぜひこの記事を読み返して意味を理解できるようになってくださいね。
PS.ちなみに最初の挿絵の
また下記の記事も参考になるので、合わせて目を通しておいてください。 →Should,Should beの意味と使い方<Shouldは実は現在形?!> |