wantと聞くと英会話になれない頃は「したい」なのか「欲しい」なのかどっちなのかで迷ってしまいがちですよね。
ここではWantの使い方を理解し、toを付ける付けないの迷いを取り除いてもらい、さらにwant youやwannaなどの口語特有の表現も合わせて習得してもらいます。
1.はじめに「wantのカテゴリー」
Wantという単語は文法上は「動詞」というカテゴリーに入ります。動詞とはその名の通り「動きを表現する単語」です。どういう事かというと
do, go, come, like, hear, get, have… する、行く、来る、好く、聞く、手に入れる、所有する |
などの身体の動き「〇〇する」を表現する単語達と同じカテゴリーだという事です。
「欲しい」という意味から感情を表す「形容詞」と思いがちですが、英語の世界では「欲する」という意味の「動き」として扱われます。
*文法が苦手な人はここは覚えなくても大丈夫です。ここからは会話ベースで説明していきます。
2.Want の使い方とWant to との違い
まず、あなたが迷うのが、
Wantは「欲しい」「したい」どっちなのか?
というとこだと思います。例えば、
I want a new shirt. |
これを日本語にどう訳しますか?
たぶんあなたも訳せると思うんで、チャレンジしてみてください。
訳せましたか?
正解はもちろん!
これは「新しいシャツが欲しい」となるわけです。
「新しいシャツしたい」と訳すのかなぁなんて迷いませんよね。
じゃあ、今度は
I want to buy a new shirt. |
これはどう訳しますか?
実は言ってる事は同じなんですが、ちょっと言い方が変わります。
そう今度は「買いたい=〇〇したい」の意味になるわけです。
変に最初から「したい」とか「欲しい」と日本語で考えようとするから迷うわけです(私もオーストラリアに来たばかりの頃はすごく迷いましたけどね。) |
じゃあ今度は逆に日本語から英語に変換してみましょう。
「私はカレーを食べたい」を英語でどう言いますか? |
いいですか、まず「食べたい」と言うという事は
「eat」という単語が必要になるという事です。
だから
「want」という単語は「動詞カテゴリー」の単語です。 「eat」という単語も「動詞カテゴリー」の単語です。 |
基本的に文法上のルールとして、1つのセンテンスに同じカテゴリーの単語が連続して入る事はありません(例外はありますけど)。だから、wantとeatを一緒に使いたい場合は
I want to eat curry. ◎ I want eat curry. ✖ |
上記のように「to」でつなぎます。
で、これって例えば、スーパーでカレー粉を探している時に、
店員さんにDo you need help?と話しかけられたら
I want (a small bottle of) curry powder. カレー粉が欲しいんです。 |
と答えればいいわけです。
もちろんこれは
I want to buy (a small bottle of) curry powder. 買いたい I want to get (a small bottle of) curry powder. |
などとto buyのようにwant toの形で言ってもOKです。
ようは、
I want + モノ なら = 〇〇が欲しい I want + to (go, buy, do, get)などの動きなら = 〇〇したい(買いたい等) |
のようになるという事です。
want to=したい と考えるのではなく、want の後ろに何をつなげるか?を考えるわけです。
ここでシックリ来なくても、あとで映画のセリフからまた例題を出すので、そこでシックリ来るはずです。
3.Wantの口語特有の変化
では、Wantの口語特有の使い方をここでは解説していきます。
例えば、 お姉ちゃんが、
Do you want this wallet? Because I bought a new one. この財布欲しい?私新しいの買ったから要らないからさ。 |
と言ってきたとします。
そして、あなたがそのお姉ちゃんのお古を欲しいなら
I want it!欲しい |
のようにあなたは答えます。 逆に要らないのなら
I don’t need it. 要らない No thanks. 要らない I don’t want it. 欲しくない |
のように答えればOKです。
ちなみにこの時、「I want it (アイ、ウォニ!)」のような発音になります。結構映画を見てると出てくるセリフだったりするので、この言い方覚えておいてください。 |
またもう一つの発音の変化でwanna (ワナ)というのがあります。
I wanna go! = I want to go! wanna = want to |
I wanna go! と言うのは I want to go! (行きたい!)と同じです。
つまり「want to」の発音が早口で変化したものが「wanna」という事です。
ちなみにこれ、あくまで口語のルールなので、試験やテストでwannaと書くとバツをもらうはめになりますので、お気をつけて。 |
なので 「カレー食べたい!」なら
I wanna eat curry! |
です。
ただ、「iPhone欲しい!」を
I wanna iPhone. ✖ |
とは言いません。これは I want (an) iPhone. です。
wanna = want to の略であり、Wantの略ではないので気を付けてください。
また、
I wanna see him. ◎ Do you wanna watch the movie? ◎
He wanna come with us? △ ↓ He wants to come with us? ◎ |
のように、厳密には
wanna = want to wanna = wants to ✖ |
なので一応ネイティブ的にはhe sheなどには使わない事になっています。
<返事で使うI wantを使う時の注意点>
また、よく聞き間違えやすい言葉で、
I want to go. I won’t go. というのがあります。 |
won’t というのはwill not の短縮した形です。won’tとwantの発音は一緒なので、
聞き分けは to が入ってるかどうかで聞き分けます。
なので、返事で使う場合も
A: Do you want to go to the beach with us tomorrow? 明日ビーチに行くんだけど、君も来ない? (君も来たい?) B: |
のように「行きたい」と答える場合は、返事はI want to. とtoまでちゃんと言うか、I doで答えます。理由はI wantだけだと、I won’t と言っていると捉えられるからです。
もし、
A: Do you want chocolate? B: I want it! |
のように、want単体で付ける場合は、最後にitを付けた方が分かりやすいです。ただこの場合は、I won’t をそもそも回答として使わないので、I wantだけでも通じます。
→want,won’t の聞き分け方についてはこちらのWillの記事で徹底解説しています。 |
4.want you, want you toの使い方
これもよく使い方や意味が分からないという質問を頂くので説明します。
例えば、「卵を買ってきてもらいたいんだけど」と頼みたい場合、
I want you to go to buy some eggs. |
という言い方が出来ます。
I want to go だと「自分が行きたい」ですが、
I want you to go とする事で「私はあなたに行ってほしい」という意味になります。
つまりWantの後ろに[人]を入れれば、「〇〇して欲しい」という言い方が出来るという事です。
Do you want me to do a massage? 私にマッサージして欲しい? |
のように使います。
She wants me to shave my beard. 彼女は俺にヒゲを剃って欲しいんだ。 |
これちなみに
She wants me to cut my hair. 彼女は私に髪を切って欲しいんだ。 | |
She wants me to cut her hair. 彼女は私に(彼女の)髪を切って欲しいんだ。 |
誰の髪を切って欲しいのか?これは後ろのmy, herで変わってきます。
ちなみにただ単純に I want you. と言ったら「君が欲しい」という意味になります。
5.映画のセリフからWantの使い方を理解する。
では、ここでは映画のセリフからネイティブはWantをどう使っているのかを見て、
Wantの使い方への理解を深めて行きましょう。
Iron man 2 (邦題:アイアンマン2) トニー: I’m busy. What do you want? コールソン: Nothing. Good bye. I’ve been reassigned. 「忙しいんだが、何の用だい?」「なにも。ただお別れを言いに。配属が変わってね、フューリーは私にニューメキシコに行って欲しいんだ。」 |
これは突然トニーの元にエージェント・コールソンが訪ねてきた時のセリフです。
最初のWhat do you want (from me)? ですが、「なにが欲しい?」という意味ですが、「私に何をして欲しい?なにか頼みがあってきたんだろ?」という事を表現しています。なので日本語のニュアンスで言うなら「何の用ですか?」といった感じの時に使います。
そして、Director Fury wants me in New Mexico. というのは、言い換えれば
He wants me to be in New Mexico. と言ってるのと同じで、「ニューメキシコに行って欲しい」という事を言っているわけです。
The Hunger Games: Catching Fire (邦題:ハンガーゲーム2) カットニス: We have to go, Gale, before they kill us.They will kill us. ゲイル: What about the other families? Huh? The ones who stay. カットニス: I don’t want anyone looking to me. I can’t help them. ゲイル: You do what you want. I’m staying here.
カットニス「奴らが殺しに来る前にここを去らなきゃ!奴らは私達を殺すわ!」 ゲイル「他の家族はどうなるんだ?ここに残る連中には何が起こる?みんなお前の事を見てるんだぞ、カットニス。」 カットニス「誰にも見てほしくなんてない!私はみんなの事を助けられない!」 ゲイル「お前がやりたいようにやればいい。俺はここに残る。」 |
という会話です。殺される前にこの街から逃げよう!と提案するカットニスですが、カットニスは今、革命のシンボルとして国民から見られてます。この国の国民は貧しい生活を中心都市キャピトルにより強いられています。普段は国を支配するキャピトル軍には歯向かわない国民が今カットニスを勝手に革命への希望として見つめているわけです。
なのでゲイルは「だれもがお前を見ているんだ!(革命の希望として)」と言った所、「I don’t want anyone looking to me.(誰にもそんな風に私は見られたくない!)」と言って拒んだわけです。
これは、I don’t want them to look to me. と一緒で、「彼らに私を見て欲しくない」と言ってるわけです。 (to look → looking と ingの形に変化させて使っている感じです)
それに対しゲイルは「You do what you want.」と言いました。「お前はやれ、やりたい事を」と言っています。これも「You do what you want to do.」の後ろの「to do」を省略してる形です。
軍人: Get out of my way! ヘイミッチ: No, you don’t want to shoot her. 軍人: How about I shoot both of you? ヘイミッチ: Look, Commander, you’re new here. Trust me, I’m trying to help you. 「どけ!」『だめだ、彼女を撃つべきじゃない』「だったらお前らまとめて撃つのはどうだ?」「聞いてくれ司令官、あなたはここでは新米だろ?信じてくれ、あなたを助けようとしてるんだ。」 |
これは、軍の司令官が、カットニスに銃口を向けた際、止めに入ったヘイミッチのシーンです。
まず、なぜこういう会話になっているかというと、司令官が撃とうとしたカットニスは国のアイドル的存在です。司令官はその事を分かってません。なのでもし司令官が彼女を撃ち殺したなら大問題となりほぼ間違いなく司令官は職を失い、あとで窮地に陥ります。
その事を伝えるために、ヘイミッチは you don’t want to shoot her. と言って止めました。直訳すれば「あなたは彼女を撃ちたくない」という訳ですが、このままの直訳だと日本語的には変に感じるでしょう。だって実際は指令官は撃ちたくてウズウズしてるんですから。
なので、ニュアンス的には「やったらあなたにとって嬉しくない事がおきますよ」的なニュアンスだと思ってください。結構この使い方は頻繁に映画の中でも出てきます。なので、「You shouldn’t shoot her. = 彼女を撃つべきじゃない」と言ってる事はほぼ同じになります。
→Shouldの「~するべき」のニュアンスはこちらの記事で解説しています。
ヘイミッチ: Good news. At least half the Tributes want you as an ally. 「良い知らせだ、最低でも半分の参加者がお前と同盟を組みたいそうだ。」 |
ハンガーゲームで生き残るために同盟を探していたシーンでのセリフです。
この場合の want you はそのまま「君が欲しい」です。「参加者は君を欲しい、同盟として」と言っています。
Fast five (邦題:ワイルド・スピード MEGA MAX) ヴィンス: How does it feel? ブライアン: What’s that? ヴィンス: To be on the other side of a wanted poster?
「あれはどんな気持ちだ?」「何の事だ?」「指名手配のポスターの一面になった事だよ。」 |
ブライアンは元々警察官でしたが、警察を裏切って脱獄の手助けをしたため、現在は指名手配犯です。つまりこの最後の a wanted poster というのはこれの事です。
警察だったお前がこれになった気持ちはどうだ?と聞いているんですね。
こんな感じで「wanted」が指名手配という意味でも使われる事はあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか? Want と Want to の使い方、さらにWant you の使い方まで理解出来たでしょうか?日本語で「欲しい、したい」と2つに分けて考えてしまうと分からなくなってしまいます。そうでなくて、英語のWantの感覚で覚えてください。日本語で考えなければ、この記事で説明した通り、意味を理解できたはずです。
私自身、日本語で2つに分けるのをやめてから、Wantを使うのがすごく簡単になりました。これを使いこなすには、あとは慣れですから、まずは今すぐ自分でWantと使ったセンテンスを頭の中で作ってみてください。あなたのしたい事、あなたの欲しいものを思い浮かべて、英語で言ってみてください。そうする事であっという間に使いこなせるようになりますので。
want の丁寧語 would likeについてはこちら →Wouldの意味と使い方。口語的に考えれば簡単に理解できる!
wantとwon’tの違い、聞き分け方についてはこちら |