ここではCan、Couldの意味と会話で実際にはどう使い分けるかを解りやすく解説していきます。
CouldもCanの過去形と覚えてしまうと本来の使い方を誤ってしまいます。CouldもWouldやShould、Might同様現在形で普通に使うからです。またCanは「できる」とだけ覚えていると、これまた「Can I, Can you」で質問された時に誤った理解をしてしまいます。なのでこの2つの違いと会話での用法をこの記事を読んで理解していきましょう。
「Can,Could」の使い方 重要度★★★★★
1.Can,Couldの文法上の属性
Will Shall Should May Might Must would |
と同じカテゴリー(助動詞)に属します。
これらの単語はgo, comeなどの「動き」を「補助する」単語です。
I go. = 私は行く I can go. = 私は行ける。 I could go. =私は行けるかもしれません。 |
とできる確率やニュアンスを付け足すのがcan,couldなどの「助動詞」の役割です。
2. Canの会話での正しい使い方と理解
Canという単語は「できる」という意味がたしかにありますが、次の例を見てもっと深い意味を理解してください。
例えば、右の写真の指の動きが出来るか外国人の友達に聞くとします。
Can you do this? I can’t do. これ君はできる?私はできないな。 |
上記のように「Can you」で聞けば、
相手ができるかできないかを聞く事が出来ます。
では、次はどうでしょう。
子供がお父さんに絵本を持ってきて言いました。
Dad, can you read this book? |
さて、日本語に訳すとしたらあなただったらどう訳しますか?
例えばこれをCanは「できる」だから『お父さん、この本を読む事が出来ますか?』と訳してしまうと変に感じますよね。子供の絵本をお父さんが読めないほど馬鹿なわけはありません。
つまりこれは「お父さん、この本を読んでくれる?」と子供が頼んでいるのです。このように相手に頼む時にまずCanを使います。
つまりCanは使うシチュエーションによって意味が微妙に変化するという事です。
では今度はあなたがピザを買ってきてテーブルにおきました。するとシェアメイト(同居人)のJohnが聞いてきました。
Can I eat this pizza? |
これはどういう意味か分かりますか?
「できる」で考えると「私はこのピザを食べる事ができますか?」となりますよね。
例えば冷蔵庫に2週間放置してあった牛乳を出して、
Can I drink this milk? |
と聞いてきたなら「この牛乳はまだ飲む事が出来るかな?もう腐ってて飲めないかな?」という「できる」の意味にもなります。ただし今回ピザはフレッシュです。
なので「このピザを食べてもいいですか?」と聞いている事になります。
つまり「〇〇してもいいですか」と許可を求めているのです。
3.Canの3つの使い分けのまとめ
前項で解説した通り、Canには3つの使い分け方があります。まず質問形式で覚えておくと非常に分かりやすいです。
・Can you で聞かれたら「〇〇してくれる?」と頼んでいる ・Can I で聞かれたら「〇〇してもいい?」と許可を求めている ・どちらも「〇〇できる?」の意味でも使える。 |
だから文法書には「可能性・推量」「許可」「依頼」なんて感じに書かれています。
もう一度例を出すので、この違いを文法的にではなく、シチュエーションの違いで
どのCanの意味なのかを判断できるようになりましょう。
例えば、お母さんが料理中ににんにくを買い忘れた事に気付いたとします。すると5歳の娘が
娘: I’ll go & buy garlic for you. にんにくを買ってきてあげるよ |
と言ったとします。その時、お母さんは言います。
母: Can you go alone? |
この日本語訳は分かりますよね!変に3つの意味のどのCanなんだろうなんて考えないでください。単純にシチュエーションで考えてください。5歳の子供が1人で買い物に行くと言ってるんです。心配ですよね。だから「1人で行けるの?大丈夫なの?」という意味でこのCan you go alone? は使われています。
で、今度はそこに10歳の息子が来ました。お母さんは息子に言います。
母: Can you go shopping with her? |
これはどういう意味か分かりますか?
「with herというのは5歳の娘と一緒に」という事です。だから分かりますよね。「娘と一緒に買い物に行ってくれる?」と息子に頼んでるわけです。10歳の息子に対して買い物に行く事を心配しませんよね。
最初の5歳の娘に対して使ったCan youは「できるの?」と聞いていて 次の10歳の息子に対して使ったCan youは「してくれる?」と頼んでるわけです。 |
どの意味で使われているかは、シチュエーションで判断できるわけです。前項で話したピザの話と一緒です。
なので、もう一度言いますが、文法的に考えないでください。
あくまでシチュエーションでどの意味なのか考えれば難しくないのです。
英会話でもっともよく使われるフレーズで
Can I have this? Can I get this? |
という言葉があります。
例えばケーキ屋に行って、店員に欲しいケーキを指さしながら
Can I have this? (Can I get this?) |
と言えば、「これください」という意味になり、店員がそのケーキを取ってくれます。
なぜかというと日本でも買い物の際に「これを頂けるかしら」って言ったりしますよね?
それと一緒です。「これを私がゲットする事はできますか?=これ頂けるかしら」なわけです。だからこのフレーズが日常会話では当たり前に出てきます。
前項の「ピザを食べていい?」と聞く時も「Can I have this?」と聞いてもOKです。
「これもらっていい?食べていい?」という意味に同じくなります。
いかがでしたでしょうか?このシチュエーションで考える癖とCan I Can youの質問の仕方を理解してるだけでも英会話は大幅に出来るようになります。
4.Couldの使い方
CouldはCanの過去形と中学校の教科書で習ったと思います。これはある意味正解で確かに過去形としても使えますが、実際の会話では現在形としても頻繁に使います。
例えば会社で任されたノルマを全部時間内に終わらす事が出来なかったら
I couldn’t finish all. 全部終わらす事は出来なかった。 |
という感じで「出来なかった=Canの過去形」として使う事が出来ます。
これは皆さんご存知の使い方です。では次はどうでしょう?
例えば、女の子がジャムの瓶を開けようとしてます。そしてあなたに言ってきました。
Could you open this lid? It’s too tight. *lid = フタ |
今度の意味は分かりますか?今回は過去形じゃないですよ。じゃあ先ほどまで散々やった Can youで考えてみましょう。
Can you open this lid? It’s too tight. |
これならどうですか?分からない場合は2項3項を復習してください。これは「フタを開けてくれる?固すぎて開かない」と言ってるんです。
じゃあ、これが Could you open this lid? になるとどういう意味になるのか?実は意味はCan you とまったく一緒なんです。
何が違うのかというと「丁寧度」です。Could youで聞いた方がより丁寧で敬っている感じが出ます。これはWouldがWillより丁寧なのと一緒です。(→Wouldの記事参照)
なので目上の人や初対面の人に何か頼む場合は「Could you」を使う事が好まれます。
じゃあ、Can I も Could I を使った方がいいのかというと、オーストラリアに住んでいる私の印象からすると Could I を使う人は少ないです。使ってももちろんいいですが、使わなくてもCan I で十分丁寧に伝わります。
つまりCouldとはCanの丁寧語であると理解してください。
と言ってもCanももともと丁寧語です。
例えば、買い物に行ってきてくれる?と頼むのに
Go shopping please. |
と言ったら、Pleaseが付いてるので一応丁寧ですが、ちょっとぶっきらぼうです。あまり親しくない人にこの言い方をしたら「何様?」って思われます。でも、
Can you go shopping? |
とCan youで言えば、「買い物頼んでもいいかしら」という感じで割りかし丁寧な言い方になります。さらにCould youを使えばもっと丁寧な言い方に聞こえるという事です。
・Go shopping! ・Please go shopping. ・I want to ask you to go shopping. ・Can you go shopping? ・Could you go shopping? ・Would you mind if I asked you to go shopping? | 命令口調 ↑ | | ↓ 丁寧口調 |
どれも「買い物行ってきてくれる?」と頼んでますが、上に行くほど命令口調で下に行くほど丁寧に頼んでるニュアンスになります。
ここであまり誤解しないで欲しいのですが、友達同士、家族でも「Can you, Could you」は普通に使います。確かに丁寧語ですが英語の世界には日本語ほどタメ口と敬語の境目がないので、別に親友に Could you で頼んだって全然普通なわけです。ようは丁寧に頼むか、簡素に頼むかの違いです。
5.Couldの確率、可能性
Could というのは、Canよりできる可能性が低い時にもよく使います。
A: Can you come to the party tonight? B: |
上記のように、Couldを使うと行ける可能性が大幅に減ります。
Canならほぼ間違いなく行ける感じに聞こえますが、
Couldだと行ける可能性がとても低い感じがします。
他の例では、
He is gay = 彼はゲイだ。(100%) He can be gay = 彼はゲイかもしれない。 (60%) He could be gay = 彼はもしかしたらゲイの可能性も (20%) |
のように、Canでいうと、比較的そうである可能性が高く感じますが、
Couldでいうと、「もしかしたら~かも」と可能性が低い感じがします。
例えば、突然あなたのパソコンが動かなくなったとしましょう。
パソコンに詳しい友達に見てもらいます。
1.Just leave your computer with power off for 1hour. Then it could work again. 電源を抜いて1時間放置してみよう。それで直るかもしれないし。 2.Or it could be virus. 3.If you send your PC to the repair shop, It could take 1 week. |
まずなぜどれもcouldを使ってるかというと、確証がないからです。1番のセリフを
Then it can work again |
とcanで言った場合、かなり高い確率でパソコンがまた動くと言ってる事になります。相当自信があるなら、Canで言えばいいです。でも取りあえず直るかもしれないから電源抜いて放置してみようという発言なので、couldが妥当です。
2番は
Or it can be virus. |
でもいいです。couldで言った方が先ほどのGayの例と一緒で、ウイルスに感染してる確率が低く感じます。
3番も
It can take 1 week. |
というと「一週間位かかっちゃうだろうね」とその辺の事情に詳しいならCanを使っても良いでしょう。大体の予想で言うならCouldを使った方が良いです。CouldはWould同様、予想や架空の話で特に使う傾向があります。次の項を見てください。
6.架空の話のCould
下の例を見てください。
If I won the lotto. I would donate some. If I won the lotto. I could donate some. |
このように、would同様架空の話で「〇〇だろう」と言う時に
「〇〇できるだろう」というニュアンスに変えたい場合はCouldを使う事ができます。
→この架空の話については「Wouldの架空の話」の項で詳しく解説してます。 |
7. 映画のセリフからCan, Couldを理解する。
ここでは映画のセリフから実際にネイティブがどんな時にCanやCouldを使っているか例を出して説明します。映画のセリフから学ぶ事でCan,Couldに対するより深い理解ができるはずです。
Iron man 3
(邦題:アイアンマン3)
マヤ:Can you not touch my plant? It’s not… She doesn’t like it. |
これは、ボディガードがマヤ博士の実験用植物に触った時にマヤが言ったセリフです。
Can youで頼んでるわけです、その後ろにnotが来てるので
「〇〇しないでくれます?」と頼んでるんです。
英語では植物などの物も「she, he」などで表現したりもします。
今回の Can you not という言い方はちょっと特殊に感じるかもしれませんが、頼む言い方の場合は、結構この言い方が主流です。
例えば、外国人が作ってくれた料理が予想以上に辛くてヒーヒー言っているとします。
そんな時、その外国人が言うわけです。
Can’t you eat spicy food? 辛いものは食べられないのかい? |
こういった「〇〇できないんですか?」と聞くなら、Can’t you でいいですが、頼む時はちょっと分かりづらいので、Can you not の言い方で言ったりもします。
SP: Everything okay, sir? |
これは副大統領にSPが「大丈夫ですか?何も問題ありませんか?」と聞いているのに対して副大統領が「まったくもって問題ない」と返しているというセリフです。
このCouldn’t be better はちょっと特殊な言葉ではありますが、「be better = 良くなる」という言葉に「Couldn’t=出来ないだろう」が合体して「これ以上良くなる事は出来ないだろう」という意味合いになっています。
それが転じて「これ以上良くならない=最高の状態である」という事を言っているんです。これは特殊なネイティブフレーズなので、わかりづらかったと思いますが、良かったら覚えておいてください。
これは主人公カットニスがハンガーゲームという殺し合いを強いられるゲームの前大会で出会ったスレッシュという青年について演説しているシーンです。
ここで注目して欲しいのは、He could have killed meという所。確かにHe could kill me.でも「彼は私を殺す事が出来た」という意味になりますが、過去の事を強調したい場合は、Could+現在完了形を使います。このCouldはあくまで「私を殺す事もできるだろう」という可能性を話しているので、さらに後ろに「have killed」と現在完了形を合体させる事で過去を強調し、「殺す事もできただろう」というニュアンスにしています。この使い方はWouldやShould、Mightも一緒です。(→Wouldの記事も合わせて読むと理解が深まります。)
まとめ
今回は映画の中からちょっとマニアックなCanとCouldの使い方を紹介しました。しかし実際の英会話ではCanとCouldは生活に密着した形でものすごくよく出てきます。
とくに最初に話したCan I, Can youの質問の仕方を知ってるだけでも、海外旅行や外人さんと仕事する場面などで絶大な効果を発揮します。なぜなら旅行や仕事で使う会話は常に「〇〇していいですか?」「〇〇お願いできますか?」という会話が続くからです。ちょっと考えてみましょう。
ここで待っててもらえますか? ここで停めてもらえますか? ここで泳いでいいですか? 写真撮ってもらえますか? 試着してもいいですか? この仕事やってもらってもいいですか? | can you wait here? Can you stop here? Can I swim here? Can you take a photo? Can I try? Can you do this task? |
などなど、全て旅行や仕事で使う会話というのは、Can I, Can youを使ったセリフばかりです。ネイティブフレーズ集などでセリフを覚えても結局このCan I, Can youの使い方を分かってないと、ちょっと違う言い回しをされただけで理解出来なかったり、言いたい事がパッと出なかったりします。
あなたがもし長年英会話が出来なくて悩んでいるとしたらこのCan I, Can youをちゃんと使いこなせているかもう一度確認してみてください。劇的にあなたの英会話が上達するはずです。
なので、何度も読み返してこの「Can、Could」2つの重要基礎文法単語をしっかりと使いこなせるようにしておきましょう。
→こういうCan Iのような話し方13パターンを知ると簡単に話せるまた下記の記事も参考になるので、合わせて目を通しておいてください。 →Wouldの意味と使い方。口語的に考えれば簡単に理解できる! |