ここでは「Love」と「Like」の違いを説明していきます。時折「I like you と言うのは間違いですか?」のような質問を頂きます。
この感覚は英語を日本語で無理くり考えていると起こってしまいます。ですので、このloveとlikeの感覚が英語の世界ではどういう感覚なのかを映画のセリフ例や会話実例を出しながら解説します。
1.Would you loveとWould you likeから読み解く
私がオーストラリアに来た当初、ネイティブによく下記のセリフを言われてパニックになった事があります。
Would you love some drink? |
Would you loveってどういう意味だろう?Would you likeって聞かれれば分かるけど、Would you loveって事はどういう事なんだろう?と考えこんでしまってうまく答えられず困ったものです。
でも、このWould you loveというのは、実はWould you likeとまったく同じ意味です。
違いはありません。つまり「なんか飲む(飲み物いかが)?」と聞いているんです。
→Would you の意味や使い方もWouldの記事で徹底解説してます。
このセリフから分かる通り、LikeとLoveは非常に近い言葉で入れ替えが可能なんです。そこを日本語的に「Like = 好き」「Love = 愛してる」と考えてしまうと、上記のようにパニックになってしまいます。
例えば、
I love sushi! と聞いたら、あなたは変に感じますか?
I like you. I like him. I like her. と聞いたら変に感じますか?
いえ、どちらも変ではありません。実際に使います。
ようは、「大好き」か「好き」かの違いです。
Do you like Japanese food? |
と外人さんに聞いて、まあ、普通に好きなら
「Yes, I like some Japanese food.」 |
などと答えてくるでしょう。でも「寿司が大好物なんだ!」のように答える時は
「I love sushi!」 |
のように言ってきます。
今度は I like you. I like him. I like her. ですが、これは次項で実際に映画のセリフを見てもらうのが分かりやすいでしょう。
2.映画のセリフからLoveとLikeの違いを理解する
では、実際にネイティブがどうLoveとLikeを使い分けているか、映画のセリフから紐解いて行きましょう!
AVATAR (邦題:アバター) マイルズ大佐: You got 3 months. That’s when the dozers get there. ジェイク: Well, we’re wasting time. パーカー: I like this guy. マイルズ:お前に与えられた時間は3ヶ月、その時、ブルドーザーがそこへ向かう。 |
この会話は、ジェイクが3ヶ月以内に惑星パンドラの住人ナヴィを交渉して引っ越させないと、ブルドーザーで強制的に押しのけるよという話をしています。
それを聞いたジェイクは「じゃあ、俺たちのんびり時間の無駄してる場合じゃないな」と大佐に軽く噛み付くような一言をかますので、その威勢の良さを見たパーカーは
「I like this guy. = こいつ気に入った!」と言ってるわけです。
これはオズが最強の魔法使いとしてエヴァノラの宮殿に迎え入れられた時のシーンですが、この時の I like him. も「気に入った」という感じです。恋愛感情ではなく「面白くてユーモアがある人で、初対面だけど早速気に入った」という感じのシーンでした。
猿: And what about that poor girl back there? I think she really liked you. オズ: She’ll get over me. They always do. She’s a pretty young witch. 猿「じゃあ、あの可哀想な娘はどうなんだい?彼女は本気であなたの事が好きみたいだったけど。」 |
悪い魔女退治の旅に出た猿とオズのシーンです。オズはこのシーンの前にセオドラという魔女(さっきの写真の赤い帽子の娘)を口説いていますが、彼女には何も言わず魔女退治の旅に出てしまったので、上記のような会話になっています。
今回の she really liked you には恋愛感情が入っています。そうと分かる理由はオズが口説いてセオドラが「あなたの妃になるのが楽しみ」と言っているシーンがこの前にあったからです。
ただじゃあなぜ「妃になる」とまで言ってるほどオズに惚れている女に対して猿は「She really loved you」と Loveで言わなかったのか?
それは単純に日が浅いからと言えるでしょう。このシーンは口説いて惚れさせてからまだ1日しか経ってません。短期間ですから一目惚れのようなものです。Loveというのはもっと長い間相手を想っている状態です。それこそ、1年以上恋人関係なのに、何も言わずに去ってしまったならここのセリフはLoveだったでしょう。このように恋愛感情ありでも「Like」で表現したりできるわけです。
さて映画のセリフから少しづつLikeのニュアンスが掴めてきたでしょうか?
逆に言えば、男同士でも親友や家族ならI love youという事もあります。別にゲイじゃなくてです。それは信頼関係や無償の愛からくるものです。
映画のセリフを見てきて分かったと思いますが、まずLikeは恋愛感情抜きに「気に入った!」という感覚でよく使われるのと、恋愛感情ありでも、まだ長い付き合いではない場合はLikeを使う事が多いです。
例えば、「あの娘は君の事が好きなんだよ!」と鈍感な友達に教えてあげるなら、「She likes you!」ですし、「君の事が好きだ!」と告白するなら「I love you.」を使う方が多いでしょう。
では、Loveの使い方も映画から見ていきましょう。
The Hunger Games: Catching Fire (邦題:ハンガーゲーム2) ゲイル: Do you love me? |
この2人は幼馴染みです。ずっと恋人未満友達以上のようなあやふやな関係を貫いてきました。ゲイルは「俺の事好きか?(愛してるのか?)」と聞いていて、それに対して「ゲイル、私があなたをどう思ってるかは知ってるでしょ。」と答えています。
この場合、2人には長い関係があるという前提もありますし、カットニスが「一緒にこの街から逃げよう」とゲイルに提案してる時なので「本気で俺の事を好きだから言ってるのか?」という意味合いも込めて「Love」を使っていると感じます。
カットニス: Oh, don’t go crying on me now, Caesar. カットニス:私のために泣き出さないでよ、シーザー。 |
これは、テレビ番組の司会のシーザーとこれから戦場に駆り出されるカットニスの会話です。
シーザーはカットニスのファンですが、カットニスは次のハンガーゲームで死ぬ可能性が高い。だから「私との最後の面会だけど、泣かないで」とカットニスは言ってます。
それに対してシーザーは「泣かないっていう約束は出来ないな。泣いちゃうかも」と言うと「あなたは(お調子者だから)泣いたって本当に悲しんでるなんで信じないわよ」とジョークを飛ばすと、シーザーが「I love her!」というわけです。
これはもちろん告白してるわけじゃありません。こんなジョークを言ってくる彼女がやっぱ好きだ!最高だ!と言ってるわけです。 もちろん、これは最初のアバターのセリフの I like this guy!と同じ使い方ですから、I like her! と言ってもOKです。
まとめ
ここまでいろいろな事例を見てきて、LikeもLoveも同じように使えるという事が分かったと想います。変に「Love=愛してる」と訳さなきゃいけないと誤解している人がたまにいますが、今まで解説してきた通りそんな事はないわけです。
例えば、恋人同士が I love youというシーンなら「愛してるよ」などの訳になるでしょうが、告白のシーンなら「君の事が好きだ!」と「好き」という訳になるわけです。
逆に言えば、外国人が日本語で「私はあなたを愛します」なんてセリフをたまに言ったりしますが、これも変に感じますよね?そう、無理やり「Love=愛する」と訳すからこうなるわけです。
そうではなくて、LoveはLikeと同じように使えるし、しいて違いを言うなら、とっても好き、とっても気に入っている、そしてより長い間その好きという気持ちが継続してる状態なのがLoveなわけです。なので、訳はその都度変わると理解してください。
PS.
これからは映画などを沢山見て、どういうふうにLoveとLikeが使われているか注意深く見て行きましょう。こういうネイティブの感覚は文法書や参考書をいくら読んでも学べません。逆に文法書ばかり勉強していると「Loveは愛と訳さなければいけない」のような変な固定観念が出来てしまいます。そうなるとあなたの英語は上達するどころか、どんどん話せなくなっていくわけです。
そうではなくて映画や海外ドラマのセリフから使い方を学べばいいわけです。あくまで英語は英語で考える、「Love = 愛」のように1日本語に括りつけず、Love = Like very much のような感覚で覚えてください。
would you likeの使い方は下記の記事で解説してます。 →Wouldの意味と使い方。口語的に考えれば簡単に理解できる! |