相手に敬意を表する言い方で、Sir, Madamという言い方があるのですが、実際の英会話では敬意を表しているつもりが、逆に相手を逆上させる事が結構あったりします。
ここでは、Sir, Madamの実践英会話での使い方や注意点、その他様々な呼称や名前の呼び方などを解説していきます。
1.Yes, SirだけがSirじゃない
そもそもこのSirって言葉の意味理解してますでしょうか?
私が中学生の頃は「Yes, sir!」を軍隊用語だと思っていました。
そもそもSirというのは、目上の男性を呼ぶ時の呼称です。
例えば、デパートで店員さんが男性客に声をかける時は、
Hi, How are you, sir? May I help you, sir? |
などのように、よく語尾にSirを付けて話してきます。
あえてSirを日本語にするなら、「お客様」「殿方」と言った感じで、
ようは、相手を敬う気持ちを出したい時にSirを使ったりします。
そもそも英語って語尾に名前やSirのような呼称をよく付けるんです。
Good morning, everyone. See you tomorrow, John! Come here, sweetheart. Hey, girls! |
のような感じで、相手の名前が分かってるなら大抵名前を最後に付けたり、もしくはSweetheart, darling, honeyのような呼称や、複数ならguys, girls, everyoneのようになにかしら付ける事が多いです。
*ただしこれは必ず付ける必要はないです。付ける言葉によって、フレンドリーになったり、敬意を評したりといったニュアンスが出るわけです。
で、その中でも男性に対してSirというのはとても丁寧な感じがするので
例えば、あなたが会社の新人で、まだ上司や社長の名前が分からない場合、
Sir, what should I do today? |
のように、Sir!と言う事で名前の分からない相手に対して丁寧に呼びかける事ができるわけです。
→What should I doの意味が分からない人はShouldの記事を参照
もちろん、社長に対してなら、Sir, Boss, CEOなど様々な呼び方ができるでしょう。
相手の名前が分かっているのなら、名前で呼ぶのが一番です。
で、ここで皆さんが疑問に思うのは、
first nameとfamily name (surname)どっちで呼ぶべきだろう? |
という部分だと思います。
これはハッキリ言ってその人の好みによります。
例えば相手が社長だろうと、取引先の人だろうと、ファーストネームやニックネームで呼び合うのを好む人もいれば、Mr. Smithという感じで、Mr. を付けて苗字で呼んで欲しがる人もいます。
なので、単純に初対面した時に、
What’s your name? What can I call you? |
などと聞いて相手が言ってきた名前で呼ぶのが良いでしょう。
もしくは周りの仲間が呼んでる呼び方で呼べば良いです。もちろん呼び方が分かるまで「Sir」と呼べば問題ありません。「Sir」はとても丁寧な呼び方なので、基本的に失礼にはなりません。
Sirというのは、あまり年齢を気にせず使えます。
確かに子供に使うのはちょっと変に感じるかもしれませんが、基本的には相手を敬う思いがあれば誰にでも使えるので、例えば道を聞いた後に相手が男性なら「Thank you, Sir!」と言うと、相手にもとても好印象を与える事ができます。
しかーーーーし、女性はこうはいきません。女性はデリケートで逆に尊敬の念を込めたつもりが相手をプルプルと震えあがらせ激怒させる事もあったりします。。。
2.女性に対して使うMadam, Ma’amは危険!
例えば、会社に面接の申し込みのEmailを送る時などに
Dear Sir/Madam |
という始まりでよく書き始めます。このメールを男性が読んでも女性が読んでも良いようにこういう書き方をします。
で、このMadamというのが、一応Sirと同等に女性に対しての敬意を表する呼称なのですが、最近この言葉が物議を醸しています。
このMadamという言葉、口語では実際はほとんど使われず、口語では略した「ma’am(マーム)」という言い方が使われるのですが、最近の女性はこの言葉を聞くと、
Don’t call me ma’am! I’m not such old! マームって呼ばないでくれる!私そんなにおばさんじゃない! |
と怒るというニュースやインターネットでの書き込みを沢山目にします。
元々は、年齢に関係なくSir同様相手を敬う言葉として使われていたMa’amなのですが、最近は「おばさん」と取る風潮になってきてしまって、じゃあなんて呼べばいいんだ?という議論が沢山起こっています。
例えば、さっきのように名前の分からない男性上司に声をかけるなら、Sir!と声をかければなんの問題もありません。
じゃあ、女性の上司にはどう声をかけるべきか? 本来ならMa’am!と声をかけるべきなのですが、それだと昨今は相手に悪い印象を抱かれかねません。
調べた所によると、
Ma’am! (40代以上) Miss! (アラサーから20代。一応未婚者を指す事にはなってるが、あまり気にせず使う) Mis!(ミズ:Miss同様だが、未婚、既婚問わないので、こっちを使う人も多い) Lady! (年齢問わずだが、若い感じがしないらしい) Young lady! (10代~20代) girl! (ほぼYoung ladyと同じ) Little girl! (子供) Sweetheart! (子供から学生世代) |
こんな感じで使い分けられているという説が一番多かったのですが、様々な女性の意見を聞いたところ、はっきり言ってどれを使っても人によっては嫌な気分になるそうです。
例えばアメリカ南部の人ならMa’amを敬称として学んでますから、何歳だろうがMa’amと言われれば礼儀正しいと受け取ってくれますが、アメリカ北部の人はMa’am=おばさんと捉えているので怒りやすかったり、MissやLadyですら「ちょっとおばさんぽいからイラッとする」と答える人も沢山いました。
だからと言ってYoung ladyやGirlが敬称なのかというと、そうではなく、敬っている感覚はありません。むしろ「何様?見下してる?」とプチっと来る人もいるとか。。
じゃあ何言っても怒るんじゃないか!女は本当に面倒な生き物だ!┐(´~`)┌と感じたと思いますが、結局のところ、女性に対しては名前が分かってれば名前で呼ぶ。分からないならなにも付けず、
Excuse me? Hello! |
のように呼びかけるのが一番のようです。
オーストラリアに住む私自身、女性には一切なにも付けずに話してます。オーストラリアだと男女問わず「Hello, mate!」と 「mate(オーストラリア発音だとマイト)」を老若男女問わず使う傾向があるので、Thank you, mate!なんて言う人が多いですね。
まあ、mateも敬称とは言えませんので、あまり親しくない上司なんかに使うのは微妙だと思いますが。
3.Yes sir!, Yes, ma’amを使う時
ちなみに軍隊モノの映画で、女性士官が出てくると、必ずと言っていいほど「Yes, ma’am!」という女性士官に対するセリフが出てきます。 もしくは小学生が女性教師の言いつけへの返事でも「Yes, ma’am」を使うシーンは結構見かけます。
なにかこのような確固たる上下関係や歳の差があるのなら使うのでしょうが、そうでないのなら最近は使わない傾向になりつつあるといえるでしょう。
Yes, sirも基本的には第1項で解説した通り、敬っているのならいつでも使えますが、こちらも人間関係次第という感じがあります。
例えば上下関係が厳しい職場なら、Yes, sirという言葉もよく聞きますが、最近はフレンドリーな職場も多いので、そういう場所ではいちいち上司にSirを付けているかというと、そうでもありません。
Yesの返答にもいろいろあり、
例えば、上司のLindaに「Can you do this task?」と仕事を頼まれた場合、
Yes, Linda. |
と相手の名前を付けてもいいですし、
Yes (I can)! Sure! Yeah! Yep! Yup! |
などYesの省略形で返事する事も多いです。ただ上記のようなYes単体だとただ「はい!」と返事してるだけで、やる気が全面に出された感じがしないと感じる場合もあります。
「私、やる気満々ですよ!」という感じを相手に見せたい時は
Yes, I will do it right now! などと後ろになにか一言付けると、丁寧かつやる気が見えて上司にも好印象だと言えます。(あくまで職場での話ですが。日常会話では普通にYeah!で結構です)
Yes, sir や Yes, ma’am ももちろん好印象ですが、軍隊チックな上下関係イメージではない職場や、ma’amを嫌がる女性対策としても、I will do it!などの一言づけが一番良いかと思います。
4.様々な呼称
Sir, Ma’am以外にも様々な呼称の仕方があります。
Honey (Hon) | 基本的には息子や娘に使う事が多い。しかし最近一部地域では、老若男女問わず使う人も増えてるようで、「妻にもハニーなんて言われた事ないのに、カフェ店員にそう呼ばれるとドキっとする」なんていうオジサマの意見もありました。 |
Sweety | これも子供に対する呼び方として基本使われます。 |
Sweetheart | こちらも子供がメインですが、中年世代が学生世代に対しても使ったりします。主に女の子に対して使われます。 |
Baby | これは子供や女性に対して割りかし使われますが、使う人を選ぶ言葉だと感じます。キャラ次第ですね。 |
Darling | カップルが呼び合う感覚が強いですね。ただこれも人によっては友達やお得意さんなどに使う事もあります。以前フレンドリーな男性が不動産屋の女性に対して使ってるのを見た事がありますが、不動産屋の女性はちょっとひいてました(汗)。逆に女性が職場の人に誰にでもDarlingを使ってる場合もありました。キャラによりますね。 |
There | 最近多い言い方です。 Hi, There! というと、やあみんな!という感覚で使えます。Hi, everyoneと同じ感覚です。 |
My dear | 以前、先生が生徒に対して使ってました。フレンドリーな感じが出るのと、あまりキャラを気にせず使えていい言葉だと思います。 |
My friend | これもMy dearと同じ感覚で使えます。 |
mate(マイト、メイト) | オーストラリアで多い言い方です。一応老若男女気にせず使われています。 |
dude (デュード) | 男友達を指します。女性に対しては使わない傾向が強いです。 |
pal(パル) | これも友達という意味です。フレンドリーな感じがします。 |
Mr. | Sirに近い感覚で男性に対して使います。Hello, Mr.!という感じです。割りかし敬わってる感覚があるので、使いやすいです。 |
man | これも男性に対して、Hello, man! と年齢問わず使えるので便利です。しかし、Hello, Woman!とは女性に対してほとんど言わないのが不思議な所。年齢気にするなら、Woman!と呼べば一番良い気がするのですが、なぜか使われないのです。。 |
正直、これらの呼び方はその人のキャラ次第です。我々日本人が「ワシは」「俺は」「あたしは」などのようにキャラに合わせて言い方を変えるのと同じ感覚で、言葉遣いをこういう部分で変えてキャラ作りしてる感があります。
これ以外にも、複数なら、Kids! Children! Guys! Girls! Buddy!など結局の所なんでも付けられます。
まとめ
というわけで、英会話における名前を使う感覚、ご理解頂けたでしょうか?今回の記事を読んであまり神経質になる事はありません。
あくまで知識として頭の片隅に入れておいてください。英会話初心者のうちは、Sirなどと付けるほど余裕はないと思いますし、友達同士の会話などでは基本的に必要のないものです。
女性に関しては「むしろ使わない方が親切に聞こえるのだから会話が楽になる」位に考えて頂ければOKです。映画を見る時などもどういう呼称で呼び合っているか、これからはチェックしてみてくださいね。
ちなみにIron man 2 では、
写真のナターシャに対して、トニーが初対面の時に
What’s your name, lady?
とLadyを使っていました。
あくまで参考までに。